本・コミック
¥845(税込)
JAN: 9784121025814
本書は、「美麗島」と称される台湾に息づく独自の文化と、その400年にわたる歴史を描いた中公新書である。著者の大東和重は、比較文学・比較文化の専門家で、台湾の日本統治期文学を長年研究してきた。 内容は、1624年のオランダ統治以来、鄭氏、清朝、日本、国民党といった各時代の外来政権との関係によって形作られた台湾文化の多様な魅力をひもとくもの。単なる通史ではなく、台湾を愛した日本人や台湾人の視点から、激動の台湾を生きた人びとの思索を軸に、文化の重層性を浮かび上がらせている。 特徴として、台北ではなく古都・台南を中心に記述されており、街路に残る古跡や廟、人々に愛される名物料理、信仰と祭りなど、台湾をより深く知るための具体的な案内が豊富に盛り込まれている。また、先住民の歴史、日本統治期の民俗学や地誌研究、台湾人アイデンティティの形成過程など、これまでの一般書に記述の少なかった部分に重点が置かれている。巻末には充実した図書案内が付されており、台湾関係書の入門書としても機能する。
Amazonでは4.0~4.1の高評価を獲得しており、「読んですぐに旅したくなった」という感想が多く寄せられている。肯定的な評価では、台南や先住民、日本人学者の視点など、これまでの一般書に記述の少なかった部分に重点が置かれていることが評価されている。また、文章の端麗さ、特に街の素描の生き生きとした描写が好評である。一方、批判的な評価では、文章が硬くてとっつきにくいという指摘や、「歴史と文化」という題名ほど内容が濃くないという意見もある。また、通史や体系的な文化論を期待すると肩すかしを食らう可能性があるとの指摘もある。全体的には、台湾通や台湾文化に深い関心を持つ読者向けの、専門性と一般向けのバランスが取れた著作として評価されている。
| 出版社/レーベル | 中央公論新社 |